90'S HIPHOP

90s Hiphop / Redman 「Dare Iz a Darkside」(1994)

1992年に名作「Whut? Thee Album」で、EPMDのErick Sermon(エリック・サーモン)からバックアップを受けてデビューしたレッドマン(Redman、本名: レジー・ノーブル=Reginald "Reggie" Noble)のセカンド・アルバムたる本作は、P-Funk名盤として知られるFunkadelic「Maggot Brain」を大胆に引用したアルバム・ジャケットが示す通り、元々はDJであったというRedmanのファンク趣味全開の一枚だ。

デビュー・アルバム収録の「Blow Your Mind」や「Time 4 Sum Aksion」、デビュー前に客演参加したEPMD「head banger」(1992)のような派手なフロア・バンガーこそないが、より深く独自の音楽的趣向を掘り下げた本作は、鼻の持病を持つRedmanの特徴的な声質と、ドロドロのFunkトラックが一体となった中毒性の高い楽曲が全編を占める。

師匠のErick Sermon(EPMD)は「Zapp & Rogerを抜きにしてアルバムは作れない」と自ら語るほどのFunk好きであるが、そんなErick Sermonの影響を強く感じさせながらも、
最新の「Hiphop」という手法で独自のFunkを体現したのが本作だと言えるだろう。

1996年Def Squad来日ライブ クラヤミハクライトコロ

Def Squad来日時の限定販売ミックステープ

1996年にDef Squadの一員としてErick Sermon、Keith Murray、Jamalらと来日したRedman。

その際にライブを見る機会に恵まれたが、Redmanはしきりに「クラヤミハクライトコロ」とステージ上で連呼していたことを記憶している。

これは本作タイトル「Dare Iz a Darkside」をそのまま直訳したものだろう。

ちなみにクルーのライブは英語でのロング・バースのコール&レスポンス(日本人は返せませんw)、ダイブを繰り返してろくに歌わないKeith Murrayなどラフ(適当)そのもので、いかにも東海岸のラッパーだな、という感想ではあった。

90年代ヒップホップ・シーンにおけるRedmanの位置付けとは

EPMD傘下のラッパーたちの中でも、ひときわキャラが立っており本作以降も息の長い活動を続けたのがRedmanだった。

鼻にティッシュを詰めながら激しくスピットするライブ、DJ上がりのラッパーらしくディープなファンク趣味、

華のあるルックスなど、クルーの中にあって最も人気があったのが彼だろう。(Das EFXは一発屋的なブレイクは果たしたが)

ともに無類の草好きとして知られる盟友、Method ManがWu-Tang Clanのフロント・マンとして君臨したように、

このRedmanも個性派揃いのクルーの中にあって、戦隊モノに例えると一番人気の「青レンジャー」的なポジションで、

若いヒップホップ・ヘッズたちからは絶大な人気を獲得していた。

まとめ

本作からシングルカットされた楽曲の中で人気を博したのはMary Jane Girls「All Night Long」のサビを、Redman自身のヘタウマな味のあるコーラスでサンプリングした「Can't Wait」くらいではあったが、本作は「アルバム全体でRedmanのファンク趣味を味わう」という楽しみ方をするのが正解だろう。
数々のHiphop Classicを生み出したデビュー・アルバムほどのインパクトこそなかったが、秀逸なジャケットのアート・ワークを含め、トータルで楽しめる良作ではあった。


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BB

BBです。洋楽・邦楽問わずHIPHOP・R&B・Black Music全般が好みです。 本ブログでは海外のヒップホップ・日本語ラップ・R&B・SAMPLING SOURCEなどなど、名盤のレビューやコラムを中心にHIPHOPカルチャー全般について記していきます。

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