1993年作
今となってはピンとこないリスナーもいるかもしれないが、本作がリリースされるまでKRS-ONEとDJ PREMIERは相容れない存在であると多くのヒップホップ・ヘッズたちから考えられていた。
しかし、両者の個性が最良の形で昇華したA-2「Outta Here」(日本にいては分かり辛いWhodiniのPropsの高さも聴きどころ!)によってそんな声は瞬く間にかき消されていった。
ブラストマスターが「ここにリアルヒップホッパーはどれだけいる?」と雄々しく問いかけるサウンドコラージュA-1からラストを飾るDope Shit、D-4「Higher Level」に至るまで全編に渡ってKid Capriらさまざまなプロデューサーを迎えつつ、
NYハードコア・ヒップホップの極みを見せつけた傑作アルバムである。その手応えはBDP時代の古典作「Criminal Minded」にも匹敵するであろう。
個々の楽曲
現在でもサンプリング中心のオーセンティックなヒップホップを称する際に頻繁に使われる「ブーンバップ(Boom Bap)」という言葉をアルバムタイトルに用いた本作の中でもハイライトとなるのは、なんと言っても先に述べた「Outta Here」だろう。


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手垢にまみれた定番ネタ、James Brown「Funky President」をDJ Premierが自分の色に染め直し、KRS ONEの健在ぶりを見せつけた。
この楽曲は膨大な数のプロデュースを手掛けてきたDJ Premierのキャリア中でも、相当に出来の良い部類に入るClassicであろう。
ちなみにKRS ONEへの憧れを隠さないYou The Rock★は、後に「ユウザロックのアウタヒア(リアルシットパート1)」(98年)という本作のインスパイア・ソングを生み出した。


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Outta Hereに次いでこのアルバムの重要曲を挙げるとすれば、ニューヨークの警察組織への嫌悪感を隠さない過激なリリックスがインパクト十分の「Sound Of Da Police」になるだろう。
ここ日本ではピンとくる方は少ないだろうが、アメリカ社会において日常的に生活をしているだけでも嫌がらせを受けがちな黒人たちと警察の問題は根深く、この曲以外にも「Fuck Tha Police 」N.W.A(1988年)、「Cop Killer」Ice-T(1992年)、「Fuck The Police」Jay Dee (2001年) など、さまざまなアーティストが警察に中指を立てる形で過激なリリックスをしたためている。


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