94年作。元々はプロデュース・チームを組んでいたジュジュ(JUJU)とサイコレス(Psycho Les)が、第三のメンバー、ファッション(Fashion)を迎えて結成されたBeatnuts。
1993年にEP「Intoxicated Demons 」のリリースを経て高い評価を得た翌年、満を待して作り上げた1stフル・アルバムが本作だ。
一部の好事家たちからは「最高のビートと最低の(下品な)リリックスが融合したグループはBeatnutsとSlum Village」と言われているが、本作収録の「Lick the Pussy」はまさしく彼らの真骨頂。
Tylon Davis「In the Mood」という至高のメロウ・ソウルを全編オーラルセ※クスについて語り尽くす下ネタ仕立てにしてしまったが、
曲自体のループはこの上なく美しい。これだけネタがハマるとリリックスが下ネタでも良い、否、むしろ下ネタだからこそ、このコントラストが良いのではないか、と思えてくるのは不思議だ。
そしてシングル・カットされた「Props Over Here」はクラブでサビに差しかかるとフロアから「Yeah you get props over here」とレスポンスが返ってくるキラー・チューンで、本作のハイライト。
「Props over Here」と同じくジャケ付きで12インチ・シングルが切られた「Hit Me With That」でのMonty Alexander「Love and Happiness」サンプリング、更に同じネタの異なる部分を用いた「Let off a Couple」も素晴らしい。


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他のシングル化されていない楽曲もハード路線からメロウまで恐ろしく出来が良く、彼らの仲間であるNative TongueのDe La SoulやA Tribe Called Quest、Jungle Brothersのような派手さこそなかったが、グループ名の「Beatrnuts=Beat馬鹿」の名に相応しく、90年代ヒップホップ・シーン屈指のビート職人としての手腕は存分に振るわれている。
この作品以降はパーティー路線に作風をシフトしていった彼らだが、この作品での一癖も二癖もあるネタ選びと構築能力は冴えまくっていた。
間違いなく本作こそ、彼らの最高傑作と言えるだろう。


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